ドキュメンタリー映画は本当の人間が現れてくるので、作り込んだドラマなど敵わない力を持つ。

この作品も主人公バーバラさんの記憶の中を手掛かりに、当時の人間関係が蘇り、進むごとに凄みを感じられる。

映画は残酷なほどの当時の現実を暴き出し、本人に伝えるが、バーバラさんはそれに狼狽えることなく毅然と立ち向かう。彼女の言う「冒険の旅」なのだ。

歴史は時間と共に綺麗にコーティングされ伝えられていく。

しかし底を掬うと、歴史の汚濁に塗れた人間の哀しみと残酷さが浮かび出てくる。

感傷的なものに流されずに客観的に見事に当時を掘り起こす監督、制作者たちの真摯に主人公に寄り添う姿勢に敬意を感じられた。

救いは主人公バーバラさんが温かな愛に包まれていくのが観客の私たちに伝わってくることだ。素晴らしい映画だった。