5月13日と14日に、秋田県大館市にあるもはや伝説的といっていい映画館、御成座で、大山家上映会が開催され、そこでの上映作品としてYokosuka1953を選んでいただいたので、舞台挨拶に行きました。
その模様はYoutubeの方でも公開しました(トップに出ている映像)。
映像の中にもありますが、木川はまずは青森空港に向かいます。大館に行く時にはこちらの方が近いようです。そこで主催者である大山さんと会い、まずは青森市内に宿泊して、青森の食を堪能しました。実は、木川は少し前に青森で開催する企画を考えていたこともあり、結構、青森には通ってたんで、なんか懐かしい思いをしました。
今回の大山家上映会の主催者の大山孝彦さん(主催はご夫婦で, 左)と、Yokosuka1953の絵看板を描いていただいた仲谷政信さん(写真 右)。今回の絵看板は夜なべして描いていただいたとか。仲谷さんはきりたんぽ鍋の名人。
次の日、青森から大館市に大山さんの車で向かいます。やはり面白いもので、青森県内はりんごの風景が広がっているのですが、県を跨いだ瞬間にりんごはなくなり、豊かな森が広がりました。青森は、もともとは明治以降に、当時の弘前藩の武士階級の人たちが新しく興した産業であったということを聞いたことがあります。だから青森は明治以降に急激に景色は変容していったのでしょう。ただ、やはり不思議に思うのは、県を跨ぐだけでこれだけ変わるのか、ということ。実は青森の中でも弘前、八戸、下北、とかそれぞれ文化が違うらしいので、青森と秋田というのはもっと文化が違うのかもしれないですね。ただ、その文化ってのも、おそらくは江戸以降の藩の範囲との関連かもなのです。
そして、大館市に入り、いよいよ、御成座へ到着です。
もともとは1952年に開館した洋画専門の映画館。映画離れの時代の中で、2005年に閉館。その後、長らく空き家となっていたけれども、そこを偶然借りた切替夫妻が再び映画館としての火を灯し、昭和の雰囲気を残す映画館として全国に知られるようになっている。
中にはいると、ここは映画館主の生活の場でもあることもあり、非常に家庭的な雰囲気でした。ロビーには地域の人たちの雑貨でしょうか、販売もあり、年代ものの映写機が飾られていました。コーヒーやビールなども販売されていたので、映画の合間にゆっくりと過ごせる場所なんでしょうね。また、ロビーから奥へ進んだ、上映ホール横の廊下には、往年のハリウッド映画のポスターがところせまし、と展示されていました。
不思議な空間です。5月でも関西だと3月ぐらいの気温の感覚になる場所だったので、外の涼しさとは対照的な、心が照らされる暖かさを感じました。
着いた段階では、Yokosuka1953の絵看板はまだなかったのですが、そのあと、絵師の仲谷さんが軽トラに載せて、絵看板を持ってきてくれました。大山さんと仲谷さんが看板を運び、支配人の遠藤さんも加わり、組み立てられます。
看板を見た瞬間に泣きそうになりました。私が子供の頃に、Yokosuka1953が上映されていたら、こんな看板がいたるところに飾られていたのでしょうか。大きく描かれたバーバラさんの姿を見て、懐かしさも感じました。
絵看板を描いていただいた仲谷政信さん(左)と遠藤健介さん(右)。御成座さんでは、上映作品の絵看板が毎回描かれており、それも一つの名物となっています。近隣の、秋田犬の里の施設の屋上テラスにも展示されていました。
Yokosuka1953の上映。最近は舞台挨拶がある時は、私自身は上映を見ないようにすることが多くなっています(もちろん劇場で一緒に見ることもあるのですが)。なぜかというと、映画を見た直後に舞台挨拶に臨むと、感極まってしまい、上手に話ができなくなる、というリスクを抱えてしまうからです。今回は、大館市が初めてだったということもあって、上映中は大館市の街を歩いてみました。
大館市の玄関口となる大館駅は、奥羽本線、花輪線の二つの路線が乗り入れています。ただし、訪れた時は仮設工事中でした。どんな駅舎になるんでしょうか。楽しみです。
大館駅には昔は、小坂線、花岡線という鉱山に関連する私鉄も乗り入れていました。ただ、これらの産業に伴う輸送は無くなったようで、これらは廃線となっています。そして、その小坂鉄道跡の線路は、手こぎトロッコとして観光客が楽しめる施設になっていました。
映像の中でも木川が行っているんですが、この大館駅というのは明治32年にできたもので、その周辺は明治以降に開発された場所です。それまでの中心街はここから2kmほど南の東大館駅の方が近いようです。江戸時代は一国一城の例外として、大館城(桂城)があり、佐竹家が入り、城は戊辰戦争で焼けましたが、城跡は桂城公園として整備されています。
東大館駅は5月の段階ではそれまでの災害のためにバスに振替運行となっていて、とても寂しい状態でしたが、往年の雰囲気を持っており、絵になる駅でした。この駅周辺が、大館市では歓楽街の中心地となっているようです。
今回、大館市を歩いて、木川としていちばん気になった場所は、御成座周辺でした。御成座の裏手に回った、かつての飲み屋さん街らしき場所でした。
すでに空き家となっている建物も多かったのですが、いつ頃までこのあたりは賑わっていたのでしょうか。小坂鉱山が賑わっていた頃でしょうか。それかモータライゼーション以前の、列車とバスが人を運んでいた時代まででしょうか。その当時の景色を想像すると心が躍ります。
地図上には駅前児童公園と記された場所。先程の建物の裏手にあります。鉄棒や低い椅子からは子供達の世界がかつてはここにあったことが思い起こされます。今は子供達が訪れることはないのでしょう。茂った草に、時代の流れを感じました。
Yokosuka1953の上映。木川が想像するよりも多くのお客さんにみていただき、また、そのあとの打ち上げにも参加していただいたお客さんたちから、映画への熱い感想、大館市への熱い思いを聞くことができて、とても楽しい滞在となりました。
Yokosuka1953を見ていただいた皆様、御成座のスタッフのみなさま、そして大山夫妻。ありがとうございました。
Yokosuka1953の次の上映は7月29日、30日は名古屋で。8月17 日、18日は鹿児島で上映です!
よろしくお願いします(宣伝です。)
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