戦後80年を終える日に
今年も、まもなく終わろうとしています。今年は戦後80年ということで、8月15日周辺にメディアが総力を挙げた特集が組まれていました。一言でまとめることは困難ですが、あえて言うならば「戦争トラウマ」がテーマだったのではないかと思います。
今はもう死語になったような「カミナリ親父」。その背景には戦場体験に起因するPTSDから始まる突発的な怒りがあったのではないか。個人としてそれはあったのでしょう。そして、集団としても、あの戦争は、あまりにも多くのことを私たちに残しました。
「混血児」。これは今は差別用語として捉えられがちですが、私は過去の現象を表す言葉だと思っています。戦争に敗れ、占領軍との間に生まれた子供達。彼らを区別するだけの言葉ではなく、戦争が奪った理性、人間の尊厳:その過程の怒りや混乱が、子供達に向けられた。そんな日本人の忘れたい、でも忘れるべきではない過去の一断面です。
今年、バーバラ:木川洋子さんに関する新たな資料を見つけました。それは木川洋子の養子縁組の際に、裁判所へ提出された書類です。そこに次のような一文が記されていました。
「経て洋子は、一生日陰者となる運命にあるのみならず、信子としても未だ婚期を失して居らず其の生活の現況から見て洋子を幸福に養育することは不可能と思はれ」
1953年、敗戦から8年経っても、裁判所に提出される書類に、混血で生まれた子たちが「一生日陰者となる」と書く時代だったのです。
ただ、私はそれを糾弾することを主旨としません。その時代を“生き残った”洋子の強さを、そして母:信子の優しさ、を書きたかったのです。
World is wide and beautiful.
これは、日本国際観光映像祭のテーマです。学者は書けない言葉です。そこには確実な根拠がないからです。科学的ではないです。反証できないから。
でも、それを信じて、まだ学者を続けていこうと思います。
今年もありがとうございました。
来年もよろしくお願いします。
木川剛志

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