和歌山県串本:田並劇場で上映会

本州最南端の町、串本町にある「田並劇場」にて、「Yokosuka1953」が上映されます。田並はオーストラリア:木曜島に数多くの潜水士を送り出し、彼らは命の危険を賭して、富を築き上げました。そして、田並に並ぶ瀟酒な建物群から「アメリカ村」と呼ばれました。そんな文化が紡いだ施設の象徴として「田並劇場」はありました。
長い年月の中で廃墟化していた劇場を、移住してきた芸術家夫婦が再生させ、今の「田並劇場」があります。和歌山紀南の芸術文化発信のこの場所で、上映が叶うことがとてもうれしいです。

映画『Yokosuka1953』上映会(田並劇場)
【開催日時】 2026年1月25日(日) 9:30〜11:30 13:00〜15:00 18:00〜20:00 ※各回とも開場は開始30分前です。
【会場】 田並劇場(和歌山県串本町)
【チケット料金】 大人:1,800円 高校生・中学生:1,000円 小学生以下:無料
【イベント内容】 映画上映のほか、木川剛志監督によるトークを実施します(上映会内)。

福井からの縁

私は2006年4月から2015年3月まで、福井工業大学デザイン学科に所属し、福井市のイベント「フクイ夢アート」に企画委員として参画していました。吉田喜重監督の上映会や、津田寛治さんの監督作品『カタラズのまちで』を制作したのも、このイベントがきっかけです。

フクイ夢アートでは、公募による芸術家の招聘も行っていました。2014年の企画で福井を訪れたのが、林憲昭さんです。林さんは「げんき海プロジェクト in ふくい」という企画のもと、地域の小学生たちの協力を得てアート作品を制作されました。当時の記事も残っています。

木川が撮った写真ですが、今はだいぶ様相が変わったガレリア元町、という福井市内の商店街で展示されました。

作品には小学生のシルエットが写り込んでいます。実は、そのシルエットの一人となった小学生は、持病のため、この作品への協力後に亡くなっています。その子の母親が、後日、このシルエットを見に展示に来られていたことを、私は後から知りました。

林さんはその時点ですでに和歌山に移住されていましたが、正直なところ、当時は林さんが和歌山でどのような活動をされているのかを知りませんでした。ところが翌年の2015年、私自身が和歌山に移住し、田並で劇場再生が行われていることを知ります。そして、それを手がけていたのが、かつて福井で出会った林さんだったと知るのです。

その田並劇場で『Yokosuka1953』が上映されることを、私は嬉しく思っています。

田並――かつてのアメリカ村

田並は、現在では人口減少が著しい、和歌山県南部の典型的な地域の一つです。しかし明治時代から戦前にかけて、この地からは多くの潜水士たちがオーストラリアの木曜島へ渡っていました。目的は、当時世界的に高い需要があった真珠貝の採取です。水深50メートルを超える過酷な潜水作業の中で、多くの人々が命を落としました。

木曜島には、そうした作業の最中に亡くなった人々の墓石が今も並び、現在も島民の手によって大切に保全されています。命懸けの仕事の中で、大きな富を築いた人もいました。そうした人々の中には、故郷である田並に戻り、邸宅を構えた者もいます。そのため田並は「アメリカ村」と呼ばれていたことがありました。

アメリカ村は、美浜だけではなかったのです。

「Yokosuka1953」を田並劇場で

和歌山県において、若い世代の多くは、県人たちがかつて海を渡り、海外へ移住していた歴史をあまり知りません。こうした出来事は、今、静かに忘れられつつあります。

また、戦後の和歌山にも多くのGIベビーが生まれていました。私自身の調査はまだ十分とは言えませんが、各地で折に触れて耳にする話です。

『Yokosuka1953』を田並劇場でご覧いただくことで、こうした「忘れられつつある物語」を、皆さんと共に感じ、考える時間となれば幸いです。

当日は、木川も劇場で皆さまとお話しできることを楽しみにしています。

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